砂糖をしこたま入れる。
つくれないじゃん。笑 思わず突っ込んでしまった。美味しくておいしくて感動して、自分でも作ってみたいとレシピを聞いて返ってきた答えの一部がこれ。どーすりゃいいんだ。
そのとき私にはものすごく嫌なことがあった。心が折れ、涙が伝うほどだった。一度落ち着いたと思ったのに、ふとした瞬間に視界がかすむ。そんなときに差し入れてもらった、デミカップに入った特製チャイだった。
あまりにも甘くて、あまりにも温かくて、ほっこりスパイスが効いていて、思わず飲みながら感想を伝えた。「おいひいでふ!!」 周りにいた人たちに盛大に笑われた。その笑い声さえあたたかかった。
料理のおいしさ、食品のおいしさは素材の味で決まることはある。高級食材を使ったほうが美味しいとか、他にも手間暇かけて作ったものがおいしいとか。でも恐らく、その人1番の料理はきっと、とある思い出とセットの料理なんじゃないかなと思う。
その料理は別に特別な食材が使ってあるわけではなく、どんな時に、どんな人と、どんな状況で食べたか。それがとっても重要になってくる。
家族と一緒に作った料理、初めて一人で作ったご飯、好きな人のために頑張って作ったチョコレート、へこんでたときにもらった飲み物。どんなことだっていい。
自分の心を本当に満たしてくれた料理とその物語が結びついて、その人の1番の、世界一美味しい料理になるんじゃないかな。
ちなみに冒頭で紹介したチャイの作り方は一応一通り聞いた。
作成者がチャイ好きで、日々試行錯誤しながら行きついた秘伝の『Myチャイ』らしい。だから作り方もざっくりで、二度と同じ味が出せない。笑
でもだからこそ、何とも言えないあたたかみが出るんだろうし、あんなに美味しかったんだろう。
私も自分で練習してみて、疲れを癒やす心潤す「世界一美味しいチャイ」を作れるようになりたい。そしてその場所で代々伝わる秘伝レシピになったらいいね。
