ただいてくれるだけで、そこにあるって思えるだけで、心の支えになっていた。
朝起きて開いたスマホから見えたのは、暗闇のなか真っ赤に燃え上がる首里城だった。
鮮やかな朱と抜けるような空の青が目を奪う首里城。
明治政府の廃藩置県によって琉球王国が滅亡するまでの琉球王国の政治の中心地で、現在建っていたものも第2次世界大戦時沖縄戦で消失したあと、30年の時をかけ復元されたものだった。
ニュースで取り上げられる「心の支えが…」という沖縄県の人の言葉が胸に刺さった。
私は沖縄県出身。でも住んでた期間は短くて、友人には「それは沖縄生まれって言えない」と言われたこともある。確かにそうかもしれないけどさ。
でも、それでもやっぱり沖縄はどこか特別で、そのなかでもそんな私にとっても、首里城は別格で特別だった。
帰れる場所と言うんだろうか、憧れと言うんだろうか、愛されている場所と言うんだろうか。
バシッと決まる言葉は見つからないけど、そこにあると思えるだけで強くなれる,頑張ろうって思えるそんな場所、シンボルだった。
“ただそこにある・ただそこにいるというだけで自分の力になる存在”はどこかの場所じゃなくて、恋人とか友人、恩師や家族ってこともある。
そういう人たちが与えてくれる安心感や前を向けるパワーを、私は首里城からもらっていたんだと思う。ふとした時に思い出し、前を向く力をくれる。そんな存在だった。
そんな存在との別れは突然だった。恋人や友人、恩師や家族などの人だって別れは突然やってくる。
それでも心の中にある風景や、思い出,想いは変わらない。今までもらってきた前向く力が、姿はなくなっていても、私の背中を押してくれる。
また頑張ろう、私に何かできることはないかな。あの美しい姿や文化,心を、たくさんの方に見て欲しい。そのために今私ができることは。
ほらまたこうして前向く力をくれるんだ。
